幼い頃の思い出~野山で遊んだこと

「昔は良かった」とは「時代の変化についていけなくなった人の言葉である」と何かの本で読んだ気がします。「時代の変化についていけなくなった」点では,若くして,私も例に漏れないと思います。

私の出身地は九州の山間地です。ある半島の中央部に標高数百メートルの山があり,そこから海に向けて複数の川があり,谷があり,そのうちの集落のひとつが私の生まれたところです。

テレビゲームが普及するのは,私が小学校中学年になってからのことで,それまでの遊び相手は,もっぱら野山でした。
小学校の友達や祖母(当時,「ばあば」と呼んでいました)を連れ添って野山によく出かけました。

森林_見上げ.jpg
(画像はイメージです。)

野山に行く際には,必ず何かの道具を持って出かけました。鎌(カマ)や鉈(ナタ)や鋸(ノコ)などです。
鎌や鉈はもちろん刃物で,小学生の手には余る道具です。
当時,これらの道具をカバーも付けずに持ち歩いていました。
現在では,いくら片田舎といっても,子供がこのような道具を持って歩いていれば,通報されてしまうかもしれません。大人になった私ではなおさらです。

このような道具で何をするのかといえば,竹や木を切り倒し,持ち運べる程度の大きさにしてから自宅に持ち帰り,さらに加工するのでした。自宅の納屋(なや)の前で,それらの素材をさらに細かく切断し,加工します。竹トンボや剣といったものが出来上がることもありましたが,どちらかというと,素材を加工することに夢中になりました。ただ,素材を切る,削るといった作業が好きでした。
どこかで書こうとは思うのですが,このようなことに夢中になる私の傾向は「発達障害」という,脳の一種の機能障害に起因することが後にわかります。

さて,道具の刃先がまずい方向を向いていると,当然ですが,手指を切ります。
切り口からは血が滲みます。
思わず,手指の切り口を口に含み,なんとか塞ぎます。
口の中に広がる,鉄のような,血液の味。
絆創膏というものは当時もありましたが,田舎では「そのうち治る」みたいな感じで,しばらく待ってカサブタができるまで放置していました。

こうやって,何度も手指を傷つけて道具の使い方を覚えました。
しかしながら,大人になってからはそのようなスキルが役に立ったことはありません。
素人料理を拵えるときなどに,包丁の力加減を調整するのに貢献したぐらいでしょうか。

現代の親御さん方は,道具の扱いを覚えさせるために,いきなりカマやナタを持たせることはしないでしょう。
道具を持って野山をブラブラすることができた最後の世代が,私ぐらいだと思います。
そう思えば,「昔はいい時代」でした。


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