「人事部預かり」というもの

私が新卒で入社した建設会社はそれなりに大きな企業でした。
若年で退職してしまった私は,その組織の歯車にさえなれなかったのですが。

建設会社の職員は,当時,事務職のほかに建築・土木・設備・機電(建設機械類や電気通信設備を扱う職種)などの専門職に分かれ,新入社員研修を終えた後,各地の現場に散らばっていきました。

現場のほかにも,オフィス内の仕事(事務や設計等)もあり,内業を行うオフィスビル内での作業は「常設(じょうせつ)」と呼ばれていました。若年ローテーション制度で,偶然に常設に回る職員もいますが,現場で早々に「使えない」と判断された私は,精神疾患の発症後に常設部門に配属されました。

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(写真はイメージです。)

日々悪化する症状に合わせるように,常設部門の中でも配置転換が行われました。
最後にいきついたのが人事部でした。
当時,会社の人事部門は事務職の中央人事部門のほかに,建築や土木など専門職ごとにも設けられていて,私が配属されたのは専門職種の人事部でした。

私の会社内での所属先名称は何度か変わりましたが,「○○支店帰店」とか「○○人事部預かり」などという不自然なものが多かったように思います。
そこには,私のように精神疾患を抱え,メインの現場にも常設部門にも居られなくなった職員が待機させられていました。

うつ病をはじめ,統合失調症,パニック障害など,その方々の症状は様々でしたが,皆一様に「あまり重要ではない」と思われる業務に従事していました。精神的に不安定な者にとっては,業務が過重とならず,ある意味では一種の救いでした。この部署を経由して前線へ復帰した方もいて,大企業ならではの救済措置だと感じました。

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(写真はイメージです。)

ドラマ「半沢直樹」が人気を呼びましたが,その中で出てくる「座敷牢」のようなシステムはなく,開放的な雰囲気のもとで業務に従事することができ,組織の配慮の有難さを感じました。このあたりは,ドラマと現実,企業の間でも制度が異なるのかもしれません。


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